市場概況
日本市場
日経平均株価:54,253.68円(前回比+1.75%)
TOPIX:3,699.00(前回比+3.72%)
日本10年国債利回り:2.235%(前回比 ▲0.010%pt)
政治要因とマクロ環境を背景に底堅く推移しました。日経平均株価は54,253.68円と前週末比で約930円上昇し、TOPIXも3,699.00まで上昇しました。最大の材料は、衆議院選挙を控える中で自民党を中心とした与党が安定的に過半数を確保するとの見方が強まった点です。政策の継続性や追加経済対策への期待が高まり、投資家心理の改善につながりました。政治的不透明感が後退したことで、海外投資家を中心に日本株を見直す動きもみられました。
一方、債券市場では日本10年国債利回りが2%台半ばで高止まりする展開となりました。週を通しては小幅に低下したものの、長期的には上昇圧力が意識されています。背景には、物価上昇の持続によるインフレ期待の高まりに加え、選挙を見据えた景気対策や財政出動への思惑から、日本の財政悪化懸念が意識されている点があります。国債発行増加への警戒感は金利上昇要因として市場で注目されており、金融政策正常化を進める日銀のスタンスとも相まって、金利水準は高止まりしやすい環境が続いています。
セクター別では、景気敏感株や外需関連株が相場をけん引しました。特に半導体関連では、AI向け需要の拡大期待を背景に東京エレクトロンやディスコなどが堅調に推移し、指数上昇への寄与度が高まりました。加えて、金利環境の変化を背景に銀行株も底堅く、三菱UFJフィナンシャル・グループなど大手金融株には収益改善期待から資金流入が見られました。一方で、食品や医薬品などのディフェンシブ銘柄は相対的に上値が重く、投資家の資金は成長性や景気回復恩恵を受けやすい分野へ向かう構図が鮮明となりました。
米国市場
S&P500:6,932.30(前週比 ▲0.10%)
NYダウ(Dow Jones):50,115.67(前週比 +2.47%)
ナスダック総合:23,031.21(前週比 ▲1.87%)
米国10年国債利回り:4.22%(前週比 ▲0.04%pt)
米国株式市場は、AI関連ニュースをきっかけに指数ごとに方向感が分かれる展開となりました。NYダウは景気敏感株への資金シフトを背景に史上初めて5万ドル台に到達し上昇した一方、S&P500は小幅安、ハイテク比率の高いナスダックは下落するなど、セクター間の強弱が鮮明になりました。
最大の材料となったのは、AI企業アンソロピックが新たなAIソフトを発表したことです。この発表を受け、AIの進化が既存ソフトウェア企業のビジネスモデルを揺るがす可能性が意識され、ソフトウェア関連株を中心に売りが広がりました。一方で、AIインフラを支える半導体や景気敏感株には資金が向かい、ダウ上昇を支える構図となりました。
また、米国10年国債利回りは4%台前半で高止まりし、金融環境の引き締まりが意識されている点もハイテク株の重荷となりました。総じて先週の米国市場は、AI技術の進展を背景に、成長期待の高い分野への選別が進む一方、従来型テクノロジー企業の評価見直しが進む転換点となる週でした。
為替市場
USD/JPY(2月2日〜2月6日 週間)
始値:154.84円
高値:157.33円
安値:154.54円
終値:157.18円
Trading View 参照
2月2日から6日にかけてのドル円相場は、週初154円台後半から週末157円台前半まで上昇し、円安基調が強まる展開となりました。背景には、これまで市場で警戒されていた日米当局による協調介入への懸念が後退したことがあります。前週に実施されたレートチェックを受けて円高圧力が一時強まりましたが、実際の為替介入が確認されなかったことで、市場の警戒感は徐々に和らぎました。
加えて、国内政治も円安要因として意識されました。衆議院選挙を巡り、自民党が安定多数を確保するとの見方が強まり、積極的な財政政策への期待から日本の財政拡張観測が高まりました。こうした見方は金利上昇圧力や通貨安につながりやすく、円売りを誘う材料となりました。また、高市首相が「外為特会がすごく儲かっている」と発言したことも市場で注目されました。外為特会(外国為替資金特別会計)とは、政府が為替介入や外貨準備の管理を行うための特別会計で、主にドル建て資産を保有しています。円安が進むほど外貨資産の円換算益が膨らみやすいため、この発言は政府が急激な円安を必ずしも抑制しない可能性を示唆するものとして受け止められ、円売り圧力を強める要因となりました。
注目経済イベント
🇯🇵 日本の注目イベント
📌 衆議院選挙の影響継続
衆院選で自民党が単独過半数を確保した場合、政策の継続性や積極財政への期待から、日本株は上昇し、財政拡張観測を背景に長期金利上昇、円安が進む可能性があります。一方で、足元では選挙期待を織り込んで株価が事前に上昇しているため、結果判明後は材料出尽くしとして利益確定売りが強まる「Sell The Fact」の展開にも注意が必要です。
📌 国内経済指標
- 1月のPPI(国内企業物価指数) の発表予定(例年週中)。企業のコスト動向を示し、インフレ観測や金融政策の判断材料になります。
🇺🇸 米国の注目イベント
📌 1月米雇用統計(NFP)
- 6日に延期された 1月非農業部門雇用者数(NFP) が 11日(水)に発表 されます。FRBの金融政策を左右する最重要指標で、ドル・債券・株式に大きな影響が予想されます。
📌 米CPI(消費者物価指数)
- 13日(金) に 1月のCPI/コアCPIが発表 されます。インフレ動向が再び注目され、金融政策の先行きに影響を与えそうです。
📌 その他米経済指標
- 10日(火):米 小売売上高 や 雇用コスト指数(ECI) など中型指標。消費動向や賃金圧力を確認する重要データです。
- 週中〜後半:貿易収支や小規模な住宅販売・中古住宅販売データもフォローされます。
■ 外為特別会計とは何か
高市首相が「外為特会がすごく儲かっている」と発言したことで、市場では改めて外為特別会計への注目が高まりました。外為特別会計は、日本政府が為替市場の安定を目的として外貨を売買・保有するために設けられている特別な会計です。正式名称は外国為替資金特別会計といい、一般会計とは切り離して管理されています。為替政策は財務省が方針を決定し、実際の市場オペレーションは日本銀行が担当する仕組みとなっており、日本の為替政策を支える重要な制度です。
何のために存在するのか
外為特別会計の最大の役割は為替介入を行うことです。円高が急速に進むと輸出企業の収益を圧迫するため、政府は円を売ってドルを買うことで円高を抑制します。逆に円安が進み過ぎた場合には、ドルを売って円を買うことで過度な通貨安を抑えます。このように為替市場の急激な変動を緩和し、経済への悪影響を防ぐことが主な目的です。
外為特会の資金の流れ
外為特会は、まず政府が短期国債などを発行して円資金を調達するところから始まります。その円資金を使って米ドルなどの外貨を購入し、取得した外貨は主に米国債や外国政府債券として運用されます。このように、円で資金を集めて外貨資産として保有・運用する構造になっています。
なぜ「儲かる」と言われるのか
外為特会が利益を出しやすい理由は、為替差益と金利収益の二つにあります。外貨資産はドル建てで保有されているため、円安が進むと円換算での評価額が増えます。さらに、保有している米国債からは利息収入が得られるため、特に米国金利が高い局面では収益が増えやすくなります。こうした仕組みから、円安が進むほど会計上の利益が拡大しやすい特徴があります。
外為特会の規模
日本の外貨準備は世界でも最大級で、およそ1兆ドル規模に達しています。この規模の資産を管理している外為特会は、世界の為替市場に対しても大きな影響力を持っています。特に日本政府は為替市場で主要なプレイヤーの一つと認識されています。
為替市場との関係
外為特会は単なる資産運用ではなく、為替政策そのものを支える存在です。外貨準備が豊富であれば、円買い介入などの政策対応余地が広がるため、市場参加者は政府の介入余力を注視しています。また、外為特会の収益が増加すると、政府が急激な円安を必ずしも抑制しないとの見方が広がる場合もあり、為替市場のセンチメントに影響を与える要素となります。
批判や課題
外為特会は巨額の資産を扱う一方で、運用内容の透明性が十分ではないとの指摘もあります。また、円資金の多くを国債発行によって調達しているため、実質的に政府債務の一部ではないかという議論もあります。こうした点は政策運営における課題として継続的に議論されています。
まとめ
外為特別会計は、日本政府が為替介入や外貨準備管理を行うための中核的な制度です。主にドル資産を保有・運用する仕組みであり、円安が進むと評価益や利息収益が増えやすい特徴があります。そのため、政府の為替スタンスや政策余力を測る重要な指標として市場でも注目されています。
一方で、高市首相が外為特会が「儲かっている」と発言したことが、市場では円安容認と受け止められている点については慎重に見る必要があります。外為特会の収益が増えているということは、それだけ外貨資産の含み益や利息収入が拡大していることを意味し、裏を返せばドル売り・円買い介入を行う余力が十分にあるとも解釈できます。実際、外貨準備が潤沢であるほど介入実行力は高まり、急激な為替変動に対応しやすくなります。そのため、今回の発言は必ずしも円安を容認するシグナルとは断定できず、政府がどの水準やスピードの為替変動を問題視するのかという政策判断が、今後の為替動向を左右する重要なポイントになると考えられます。

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