市場概況(1週間振り返り)
日本市場
日経平均株価 終値 :50,276.37円 前週末比:-2,134.97円(-4.07%)
TOPIX(東証株価指数)終値 :3,298.85ポイント 前週末比: -32.83ポイント(-0.99%)
日本10年国債利回り:終値:1.659% 前週末比:1.674%( +0.015%)
先週の日本株市場は、米国株の調整や長期金利の上昇を受け、週を通して上値の重い展開となりました。特に、米国の10年国債利回りが再び上昇基調を強めたことで、ハイテクやグロース株を中心に売りが優勢となり、日経平均株価は週後半にかけて下落幅を拡大しました。また、為替市場では前週にかけて進んでいた円安がやや一服し、ドル円が上昇ペースを緩めたことも、日本株全体の買い材料としては弱い形となりました。一方で、銀行や商社などバリュー株には買い戻しが入り、金利上昇局面で相対的に選好されやすいセクターが支えとなりました。決算シーズンが本格化する中で、業績内容が市場期待を上回った銘柄には個別に物色が入り、銘柄間で明暗が分かれる展開が目立ちました。特に半導体関連では、米国市場のハイテク株調整を受けて利益確定売りが出やすく、短期的なポジション調整が見られました。全体として、外部環境に左右されやすい相場が続きつつも、企業業績と金利動向が相場の方向性を決定づける状況となっています。
米国市場
S&P500 終値:6,728.80 前週末比:-111.40(-1.63%)
NYダウ 終値:46,987.10 前週末比:-575.77(-1.21%)
ナスダック総合 終値:23,004.54 前週末比:-720.42(-3.04%)
米国10年国債利回り 終値:4.093% 前週末比:+0.012%ポイント(+0.29%)
先週の米国株市場は、全体として調整色が強まる一週間となりました。米10年国債利回りが再び上昇基調を見せたことで、金利の影響を受けやすいハイテク・グロース株に売りが波及し、ナスダックを中心に軟調な展開が続きました。特に半導体やクラウド関連など、ここまでの上昇を牽引してきた銘柄には利益確定売りが出やすく、短期的なポジション整理が進んだ印象です。一方、景気敏感株や高配当株など相対的に金利上昇局面で選好されるセクターには資金のシフトもみられ、セクターローテーションが意識される場面もありました。決算シーズンでは、大型テック企業の中でも業績に明確な強弱が表れ、市場はより「成果を残せる企業」を選別する姿勢を強めています。また、FRBの利下げ時期に対する市場期待は依然として揺れやすく、金利動向が相場の方向感を左右する状態が続いています。総じて、市場は「上値追いは慎重ながら、過度な悲観にも傾かない調整局面」に入っているように感じられます。
為替ドル円
始値:153.94円
高値:154.48円
安値:152.82円
終値:153.41円
先週のドル円相場は、153円台前半から始まった後、米金利やリスク選好の変動に左右されながら方向感の乏しい値動きとなりました。週初は米国の経済指標が総じて堅調だったことから、米長期金利がやや上昇し、ドル買いが優勢となり153円台後半へと水準を切り上げました。一時は154.48円まで上昇し、円安方向への流れが意識されました。しかし、週後半にかけては米金融政策を巡る不透明感や、米国の財政協議に関する思惑が交錯し、ドル円は上値が抑えられる展開となりました。また、日本国内では日銀による政策修正観測が残る一方で、具体的な材料は乏しく、積極的な円買いにはつながりませんでした。その結果、相場は152.82円まで下押しする局面も見られたものの、円高方向への追随は限定的でした。最終的には153.41円で週を終え、方向感に欠けつつも高値圏での推移が続いた形です。
来週の相場展開 トレード方針
来週の日米株式市場は、引き続き慎重な展開となる可能性があります。特に米国では、生成AI関連を中心としたハイテク株が過熱感を指摘されており、短期的な調整局面が続く見通しです。個別決算や金利動向に対する敏感さが高まっているため、やや上値を追いにくい状況が想定されます。ただし、米国政府機関閉鎖のリスクについては与野党間の交渉が進み、徐々に市場が織り込む形で懸念は後退しつつあるため、「リスクイベントによる急落」といった警戒感はやや和らぐ可能性があります。
一方、日本株市場は、国内政治の動向と為替が焦点となります。高市政権が掲げる景気刺激策への期待が高まっており、公共投資拡大や消費支援策が視野に入ることで、内需関連株や中小型株に資金が向かう余地があります。また、日米金利差が引き続き意識される中で、為替が円安基調を維持すれば、輸出関連企業の業績期待も相場の下支え要因となります。
ただし、週を通してボラティリティは高まりやすく、株価が一時的に急落する局面もあり得ます。特にイベント前後や米長期金利の振れが大きい場面では、短期的な売りが先行する可能性があります。しかし全体としては、下落局面は過度に悲観するのではなく、AIや半導体といった成長テーマは中長期の構造トレンドが変わっていないため、「押し目買いの好機」と捉える戦略です。

コメント