はじめに
「銀行にお金を預けても利息はほとんど増えない」。こう感じている方は多いのではないでしょうか。長引く低金利環境の日本では、普通預金の金利は年0.001%前後にとどまり、100万円を1年間預けても利息はわずか10円程度です。そんな中、世界に目を向けると高金利通貨を利用した投資方法が注目されています。その代表例が、メキシコペソ円(MEXJPY)のキャリートレードです。
キャリートレードは、通貨ペアを保有することで毎日「スワップポイント」という利息のような収益が得られる仕組みで、安定した副収入を狙う投資家に人気があります。本記事では、MEXJPYキャリートレードの基本から、月5万円の収益を狙うための具体的な戦略とリスク管理までを丁寧に解説します。
キャリートレードとは?
キャリートレードとは、低金利通貨で資金を調達し、高金利通貨に投資して金利差から収益を得る手法です。日本円は世界でも屈指の低金利通貨であり、メキシコペソは政策金利が二桁に達するほど高水準で推移してきました。この金利差が投資家にとって魅力的なスワップポイントを生み出しています。
具体的には、MEXJPYを買いポジションで保有すると、1日ごとに数十円〜百円規模のスワップポイントが付与されます。つまり、為替差益を狙わなくても「持っているだけ」で収益が積み上がるのです。
MEXJPYの魅力
高スワップポイントによる収益性
メキシコは高インフレや通貨防衛のため、政策金利を長期にわたり高めに維持しています。結果として、MEXJPYを買いポジションで保有すると、他の通貨ペアに比べて圧倒的に高いスワップポイントを得られるのです。
例:1万通貨あたり100円/日のスワップを得られると仮定した場合、30日で約3,000円が口座に積み上がります。
少額資金から始められる
MEXJPYは比較的価格が低いため(例:1メキシコペソ=9円前後)、少額でもポジションを持ちやすい特徴があります。ドル円やユーロ円に比べて証拠金の負担が小さいため、初心者にとって取り組みやすい通貨ペアといえます。
月5万円を狙うキャリートレード戦略
必要ポジション量の計算
仮に「1万通貨=100円/日」のスワップが得られるとすると、1万通貨では1カ月あたり約3,000円の収益。
月5万円を得るためには、約17万通貨(≒5,000円/日)の保有が必要です。
レバレッジ5倍のパターン
- 想定レート:MEXJPY=9円
- 17万通貨=約153万円相当
- 必要証拠金:31万円前後
- 安全運用目安資金:100万円程度
資金効率は高いものの、急落時の耐性が低く、追加入金前提の設計になりやすい点が注意です。
レバレッジ3倍のパターン
- 想定レート:MEXJPY=9円
- 17万通貨=約153万円相当
- 必要証拠金:51万円前後
- 安全運用目安資金:150万円程度
レバレッジを抑えることで、強制ロスカットのリスクを減らし、長期保有に適した安定運用が可能です。
歴史的ドローダウンから見たリスクシナリオ
MEXJPYは高金利通貨らしく長期的には上昇基調もありますが、世界的リスクオフ局面では急落した歴史があります。
- 2008年リーマン・ショック:約40%下落(11円→6円台)
- 2016年前後(原油安・米政局):25〜30%下落(7円台→5円台)
- 2020年コロナ・原油急落:25〜30%下落(6円台→4.2円の史上最安値)
想定ドローダウン別の評価損シミュレーション
条件:エントリー=9円、17万通貨保有、元本=約153万円相当
想定下落幅 | 評価損額 | スワップ(月5万円)で相殺に要する期間 |
---|---|---|
▲15% | 約22.9万円 | 約4.6か月 |
▲25% | 約38.3万円 | 約7.7か月 |
▲40% | 約61.2万円 | 約12.2か月 |
※実際は証券会社ごとのスワップ変動や為替変動スピードで変わります。
レバレッジ別の耐性
- レバレッジ3倍(資金150万円目安):25%級の下落でも維持率に余裕があり、長期で耐えやすい。
- レバレッジ5倍(資金100万円目安):25%級でロスカット危険域に近づきやすく、資金管理に細心の注意が必要。
MEXJPYキャリートレードのリスク
- 為替変動リスク:円高で含み損が拡大し、スワップ益を相殺する可能性あり。
- 金利リスク:メキシコ利下げや日本利上げでスワップが縮小する。
- ロスカットリスク:資金に余裕がないと強制決済の危険が高まる。
まとめ
MEXJPYキャリートレードは、低金利の円と高金利のペソを活かした投資手法です。月5万円のスワップ収益は、
- レバレッジ5倍なら資金100万円前後から実現可能
- レバレッジ3倍なら資金150万円前後で安定的に狙える
という2つの現実的なシナリオがあります。
ただし過去の相場では25〜40%級の下落も起きており、その場合には数十万円規模の評価損が発生します。したがって、レバレッジを抑え、長期の資金余力を確保することがキャリートレードを継続する最大の秘訣と言えるでしょう。

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