マーケットアップデート
為替はドルが急伸。
米中が相互関税を一時的に引き下げることで合意したことを背景にドルが急伸した。
ドル円は148円半ばまで上昇後、148円台で推移。

米国株式市場は主要株価3指数が大幅高。
米国と中国が追加関税の引き下げで合意したことを受け、世界的な貿易摩擦の緩和につながるという期待が高まった。
ダウ工業株30種は1160ドル高で引けたほか、S&P総合500種は3月初旬以来の高値を付けた。

その他、トランプ大統領は、薬価引き下げへ大統領令署名し、薬価は30-80%下がる可能性があるとソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に投稿。
「世界中で価格が上昇することで均一化し、長年実現しなかった公正さが米国にもたらされる」と見通しを示したことで、12日の東京株式市場では、米薬価引き下げに伴う採算悪化の懸念が広がり、中外製薬、武田薬品工業、第一三共など医薬品株が軒並み大幅安となった。
中外薬は一時7.2%、武田薬と第一三共も5%前後下げた。
米中貿易協議 双方が追加関税115%引き下げで合意 ー NHK
【詳しく】米中貿易協議 双方が追加関税115%引き下げで合意
アメリカと中国の両政府はスイスで行われていた貿易協議の結果、現在、相互に課している追加関税について115%引き下げることで合意したと明らかにしました。
また、一部の関税について90日間停止し、協議を続けるとしています。経済大国どうしが100%を超える関税をかけ合う異例の事態は、ひとまず緩和される形になります。
米中協議「双方が追加関税115%引き下げで合意」
スイスで行われていたアメリカと中国の2日間の貿易協議のあと、12日にアメリカのベッセント財務長官とUSTR=アメリカ通商代表部のグリア代表が現地で記者会見を行いました。
この中でベッセント長官は「双方が関税を115%引き下げることで合意した」と明らかにし、アメリカが中国に課している145%の追加関税を大幅に引き下げると説明しました。
アメリカ側は先月2日にトランプ大統領が発表した34%の相互関税のうち、24%を90日間停止し、10%の関税は維持します。その後、発表した上乗せ関税は撤廃されます。現在、トランプ政権が中国に課している145%の追加関税は、2月と3月に課している関税とあわせて30%となります。
一方、中国政府もアメリカからの輸入品に課している125%の追加関税について、アメリカと同じく115%引き下げて10%とし、引き下げた関税のうち24%は90日間停止します。
両国は今月14日までにこうした措置をとり、90日間の関税停止期間で経済や貿易関係について協議を続けるとしています。
中国商務省は、「今回の措置は両国の生産者と消費者の期待に応えるものであり、両国の利益および世界の共通利益にもかなっている」とコメントしています。
また、ベッセント長官は記者会見で「双方の共通認識はどちらの側もデカップリングは望んでいないということだ。かなり高い関税措置は、事実上の禁輸措置で、どちらも望んでいないものだ。われわれは貿易をすることを望んでいる」と述べました。
両国とも関税の応酬によって経済の先行きへの不透明感が強まっており、こうした状況を回避するねらいがあるものとみられます。
今回の合意によって、アメリカと中国が互いに100%を超える追加関税をかけ合う異例の事態はひとまず緩和される形となります。
米 ベッセント財務長官「戦略的な再均衡はかっていく」
アメリカのベッセント財務長官はスイスで行った記者会見で、「どちらの側もデカップリングは望んでいない」と強調した一方で、「アメリカはコロナ禍にサプライチェーンのぜい弱さが露呈した、医薬品、半導体、それに鉄鋼など多くの分野において引き続き戦略的なリバランス=再均衡をはかっていく」と述べ、戦略的に重要な分野で同盟国などと協力してサプライチェーンの構築を目指す考えを示しました。
また、ベッセント長官は「アメリカは精密製造業が壊滅状態にあり、これを取り戻そうとしている。一方で中国は製造業が過剰生産の状態にありバランスを欠いている。消費に依拠した経済へと移行するとしているが、実現できていない。もしアメリカが中国との貿易を開放し、より公正な貿易ができれば、共に再均衡をはかるチャンスが生まれる」と述べ、公正な貿易関係を構築し、米中両国の利益につなげることが重要だという認識を示しました。
さらにアメリカ側が問題視している、フェンタニルなどの薬物の流入問題については「今回初めて、詳しい知識を持った2つのチームどうしで対話が行われた。中国側がアメリカで起きている事態の重大性を初めて理解した」と述べ、アメリカが中国に関税を課すもう1つの理由としている、薬物の流入問題でも議論が進展したという考えを示しました。
そのうえで「相互関税を発表した4月2日以降、中国とのあいだで起きた出来事は今回のようなメカニズムが存在すれば避けることができた。いまはメカニズムが存在する。私たちは前へと進むためのプロセスとお互いを尊重するやり方を残し、きょうここを去る」と述べ、中国とのあいだで貿易問題などを話し合う土台を築くことができたという認識を示しました。

今日の一言
「音楽が鳴っている間は、踊り続けなければならない」
市場が盛り上がっている時は嫌でも追随しなければならない、というマーケットの格言。
開放の日で一度奈落の底に落とされたマーケット民からすると少ししんどい。笑
ただ、中国以外の国々への相互関税を一時延期した時点から、トランプ政権がマーケットに配慮してきたことは明らかで、「不透明」は拭えないものの音楽が流れ出す予兆はあった。
今回のベッセント財務長官の記者会見では、「米国と中国の消費と生産のバランス」を重視していることを再認識した。
過剰生産の中国と、生産能力が低下し消費大国となったアメリカという経済構造を是正したいということだ。
また、中国サイドも米国との実質的な禁輸状態は避けたいという意向から、今回の合意に至った。
安全保障を含んだ経済対立は継続する見込みだが、米中の歩み寄りは明らかな状態である。
専門家やアナリストは「依然、関税は一時停止という状況のため不透明感は拭えない」と言葉を揃えたように言うだろうが、マーケット民はその先を見据えなければならない。
マーケットは「開放の日」以降の下げ分を全戻しして、寧ろ上昇している。
関税劇場に飽き飽きしているマーケット参加者は、トランプ減税や規制緩和といった景気刺激策へと目が移っているかもしれない。
専門家は出てきた材料を基にして語るが、マーケット参加者は「予想で買って、結果で売る」
これを忘れてはいけない。

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