日本は祝日(昭和の日)につき休場につき、ドル円は142円台半ばで動意を書く展開
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ラトニック商務長官から自動車関税に対する緩和措置が発表されるなど、通商政策における緩和期待から、株式市場は堅調に推移。
ドル円は、一時141円台に下落する場面もあったが、株の上昇を見ながら142円台を回復するとその後は底堅く推移。
SP500 5,560.82USD +32.08 +0.58%
NYダウ 40,527.62USD +300.03 +0.75%
ナスダック 17,461.32USD +95.18 +0.55%
ベッセント財務長官も、今後数週間に渡り、17か国との会談を予定していることを明らかにしたほか、日本と実質的な話し合いをしたこと、インドや韓国の貿易協定発表の可能性も示唆したため関税への脅威が緩和した格好。
その他、発表された4月の消費者信頼感指数は86.0と、前月から7.9ポイント低下して2020年5月以来の低水準となった。
(このあたりのソフトデータはトランプ関税の影響で株価下落による資産価値低下で、基本的に弱い数字がでるのでマーケットの反応も限定期になってきている。)
【自動車関税に関する緩和】
ラトニック米商務長官は、25%の自動車・部品に対する追加関税の影響を軽減する措置を発表。
米国内で車両を生産する全ての自動車メーカーが対象で、自動車部品のサプライチェーンを米国に回帰するために猶予を与えることが目的。
米国で組み立てられた車両の価値の最大15%相当を輸入部品に対する関税の控除として適用するそちで、自動車メーカーは1年目に米国内で生産する車両の販売価格の約3.75%、2年目は2.5%相当が還付される。
【ベッセント米財務長官】発言
「対中関税は持続可能ではない。中国の雇用減少につながる可能性がある」
「17の貿易相手国と今後数週間で会談へ」
「関税による収益は減税の財源に」
「米国は日本と充実した話し合いした」
「インドや韓国との貿易協定の可能性」
「サプライショックは予想しない」
ベッセント米財務長官は29日、トランプ大統領の就任100日を記念する記者会見で、トランプ氏が打ち出す関税措置の影響で、中国では1000万人の雇用が失われる可能性があり、中国政府はいずれ中国側の関税政策が持続可能でないことを認識するだろうと述べた。
日本については「実質的な協議を行った」と述べた。
また、トランプ氏の関税措置が「サプライチェーンに深刻な影響が及ぶとは考えていない」とし、小売業者は状況を見越し、在庫を十分に管理しているという見解を示した。
さらに、米国への生産移転を検討している企業に対し、トランプ政権は工場と設備の購入費用を全額即時償却を認める措置を講じ、その適用を2020年1月20日に遡及適用する方針だとも述べた。
「ここでの目標は、高品質の産業雇用を米国に戻すことだ。トランプ大統領は未来の雇用に興味があり、過去の雇用ではない」とも表明。米国には精密製造業が必要であり、必ずしも繊維産業は必要ではないと述べた。
出典:ロイターニュース 参照

今日の一言
繰り返しになるが、米国の目的は中国の封じ込めと、安全保障上重要な産業の国内帰還!
昨日のベッセント財務長官発言の、「目標は、高品質の産業雇用を米国に戻すことだ。トランプ大統領は未来の雇用に興味があり、過去の雇用ではない」との発言にも意図が詰まっている。
グローバリズムにより産業の空洞化がおき、消費と投資が経済の中心となったアメリカでは、AIなどの革新的な技術を持ち合わせる企業と、そうでない製造業との間に大きな格差が生まれた。
一方、中国が世界の工場として製造業を武器に急激な経済成長を遂げると共に、米国と相互に依存しあってきた。
しかし、中国の急激な成長の裏側には「ダンピング」や「国による補助金投入」といった自由競争の国際ルールを犯してきた側面もある。
基、社会主義国である中国を資本主義の国際ルールの仲間にいれることで、「中国が民主主義へと歩み出す」と考えた西側諸国のエゴが招いた結果である。
トランプ政権における通商政策と、これらの情勢を照らし合わせれば、目的や今後の方向性も見えてくる。
自動車や古からの製造業への配慮をしつつ、安全保障上譲れないハイテク、軍事産業の分野においては中国と徹底的に戦う流れだろう。
これは、2016年の第一次トランプ政権の頃から始まった「ディカップリング」の延長線上である。
トランプ政権の過度な不透明性に対して、マーケットが債券市場の暴落という形でNOをつきつけた結果、トランプ政権の態度は軟化した。
その後は、マーケットともコミュニケーションをとりながら、本来の目的を遂行する姿勢が窺えている点は評価に値する。
恐怖指数のVIXも30割れまで低下しているのはその証左とも言える。
マーケットも単に緩和姿勢を好感して株式市場が反発しているのではなく、トランプ政権の目的が明確になってきたことを評価しているのだろう。
引き続き、本質を見失わないようにトランプ政権の対応とマーケットを注視していきたい。


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