4日、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)が脱炭素に向けた金融機関の国際的枠組み「ネットゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」からの離脱を決めたと発表。
トランプ政権下で、NZBAへの加盟が化石燃料企業への融資削減につながる場合には反トラスト法(独占禁止法)に抵触する恐れがあると指摘される可能性があることから、離脱を決めたとされる。
トランプ米新大統領は大統領就任後、気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」からの離脱を決める大統領令へ早々に署名した。
再生可能エネルギーへの政府支援を大幅に縮小する一方、自国内の化石燃料を「掘って、掘って、掘りまくる」と宣言する等、化石燃料の生産拡大を最優先事項としている。
また、国家環境政策法(NEPA)に基づく規制を緩和することでLNG輸出を強化し、世界的なエネルギーリーダーとしての地位を強化しつつ、安全保障を強固なもにする狙いがある。
他にも、世界基準を無視して温室効果ガスを排出し続ける中国が、再生可能エネルギーや電気自動車の市場の恩恵を受け、部品や素材に必要な重要鉱物の国際的な供給網を握っていることから、脱炭素の流れを止めることで中国経済を抑え込む狙いもある。
エネルギー事業においては、様々な利権と思惑が絡み合っていることが分かる。
エネルギー輸入国として、多方面の関与を維持することが合理的な選択とされる中、三井住友フィナンシャルグループの判断はトランプ政権へのコミットが伺える。
他方で脱炭素にコミットする企業や、アメリカで水素エネルギー開発の補助金を受ける企業、中国でのEV産業に依存している企業など、これまでの脱炭素の恩恵を受けた企業にとっては逆風となろう。
グローバルに根差した企業が難しい舵取りを要求される中、先陣を切った三井住友フィナンシャルグループの経営が英断か否か注目したい。