東京時間
日経平均は、前営業日比406円92銭高の3万6452円30銭と6日続伸して取引を終えた。
朝方は米株の底堅さが好感されて、全般に買い優勢で始まった。
注目された日銀金融政策決定会合では政策金利の据え置きを決定。
その後に為替市場で円安が進行し、後半は上値を追う展開となった。
ドル円は、日銀展望レポートにて物価見通しが引き下げられたことから利上げ時期後退が意識され円安が進み144円台へ上昇。
日銀政策決定会
日銀政策決定会合では、政策金利0.5%の据え置きが発表された。
当面の金融政策運営を知らせる書面では、ペラ1で据え置きを提示!
日米交渉を睨んで、「為替を円高にするために日銀がタカ派な姿勢を示すかもしれない」と専門家がごちゃごちゃ言っていたのを一掃する爽快な発表。
さすがロボコップ植田総裁!実に爽快です。

経済展望見通しについては、2025年、2026の成長見通しと物価見通しを引き下げた。
2026円は景気減速の流れを受けて物価も低下するが、その後は、成長率が高まるもとで人手不足感が強まり、中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、2027年は2%に達するとした。
展望説明の抜粋↓
物価の先行きについては、これまで物価上昇率を押し上げてきた既往の輸入物価上昇やこのところの米などの食料品価格上昇の影響は減衰していくと考えられる。
この間、消費者物価の基調的な上昇率は、成長ペース鈍化などの影響を受けて伸び悩むものの、その後は、成長率が高まるもとで人手不足感が強まり、中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。

日銀が円高誘導をするために、タカ派スタンスを維持したまま金利据え置きを実施するとの向きがあったことから、物価の引き下げはハト派(緩和的)な印象を与えた。
マーケットが構えていたよりハト派(緩和的)の内容となったことで、ドル円は143円後半へと上昇。
株式指数も、寄り付き後は様子見ムードとなったがプラス圏へと回復した。
ただ、日銀の利上げ観測が後退したことで、銀行株は下げ幅を拡大し、昨日今年度の業績を上方修正した三菱UFJも1%以上下落した。
植田総裁記者会見
植田総裁の記者会見では、展望レポートの物価見通しの2%達成の先延ばしをベースに、利上げ時期は柔軟に対応するとのメッセージを伝え、マーケットが構えていたよりはハトな印象をうけたが、「基調物価の2%到達時期はやや後ずれだが、利上げ時期が同じように後ずれするかは必ずしもそうではない」と言ったように利上げ自体の旗はおろさなかった。
トランプ関税の先行きがどうなるかわからない状況においては、ベストな対応だったように感じる。
マーケットも記者会見中にドル円が144円後半まで上昇し、日経先物も上昇した。
ただ、これだけ不確実性が高い中で、利上げの選択肢だけでなく、利下げの選択肢も含めたニュートラルなスタンスを求めていたキャンプ民からすると、かなり物足りない対応だったか。
* 植田日銀総裁: 物価見通しが上振れる可能性はそれなりにある
* 植田日銀総裁: スタグフレーション的な状況への対応、現時点で決め打ちは難しい
* 植田日銀総裁: 関税の体系が決まっても、経済への影響は不確実性が大きい
* 植田日銀総裁: 企業収益の状況や関税政策の中身によっても、賃金の見通しは可能
* 植田日銀総裁: 保有ETFの取り扱い、引き続き検討中
* 植田日銀総裁: 基調物価の2%到達時期はやや後ずれだが、利上げ時期が同じように後ずれするかは必ずしもそうではない
* 植田日銀総裁: 基調的な物価上昇率が足踏みする可能性が出ており、今回は緩和の程度維持が適当と判断
* 植田日銀総裁: 基調的物価はこれまでゆっくり上昇、ビハインドザカーブではない
* 植田日銀総裁: 物価目標の達成時期は26年度後半から27年度かとの質問に「その通り」
* 植田日銀総裁: 見通し期間内に基調的物価が2%に到達する見通しは維持されている=利上げ方向性維持で
* 植田日銀総裁: 見通しの変わり方によっては政策対応必要になる
* 植田日銀総裁: 足元までのデータは1月の見通し対比オントラックだった
* 植田日銀総裁: 消費、緩やかな増加基調との見方を維持している
* 植田日銀総裁: 実質賃金は良い方向と期待され、消費をサポート
* 植田日銀総裁: 中心的見通しに自信ある程度持てれば利上げの可能性は十分にある
* 植田日銀総裁: 賃金と物価の好循環、ある程度回っている
* 植田日銀総裁: 賃金と物価の好循環で誤算だったのは食品価格の上昇が目立ってきたこと
* 植田日銀総裁: 賃金上がり続けているが、サービス価格への波及は思ったほどではない
* 植田日銀総裁: 米関税、自然利子率に大きな影響あるとはなかなか言いにくい
* 植田日銀総裁: 米関税、90日内外にはある程度不確実性は低下するとみている
* 植田日銀総裁: 企業収益が下押しされ、企業がコストカット型に戻り始めたらそのリスクはある=基調物価の低下リスクで
* 植田日銀総裁: 為替、ファンダメンタルズに沿って安定的に推移するのが望ましい
* 植田日銀総裁: トランプ大統領が関税をゼロにしたり極めて低い水準にすればありうる=利上げ急ぐ可能性で
* 植田日銀総裁: 基調的物価が伸び悩んでいるときに無理に利上げすることはない
* 植田日銀総裁: 基調的な物価が伸び悩んでいるが、先行き上がり出して2%に到達する可能性が高いと判断すれば利上げする
出典:ロイター 参照
決算発表
三井物産、26年3月期純利益は14%減見込む 資源安や円高で
2026年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前年比14.5%減の7700億円となる見通しだと発表した。原油価格の下落に加え、鉄鉱石や原料炭などの価格低迷が続くとみているほか、為替円高が影響する。前期に計上した資産売却益がなくなることも業績を押し下げた。
年間配当は1株115円で、前期実績の100円から増配を計画している。
会社予想は、IBESがまとめたアナリスト11人の純利益予想平均8536億円を下回った。
期中平均の為替レートは1ドル=140円(前年実績152.57円)。
出典:ロイター 参照
住商の26年3月期、1.4%増の最高益予想 米関税などのリスク400億円
2026年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前年比1.4%増の5700億円になる見通しと発表した。最高益を見込む。IBESがまとめたアナリスト11人の予想平均5478億円を上回った。
リース、不動産、デジタル、ヘルスケア、農業関連など非資源事業の成長を見込む。米国の関税政策の影響は、他のリスク要因も含めて利益を400億円下押しすると織り込んだ。
年間配当予想は1株140円と、25年3月期の実績から10円増配する。
発行済み株式の2.9%に当たる3500万株・800億円を上限とする自社株買いも発表した。
期間は5月2日から2026年3月31日まで。
出典:ロイター
双日の26年3月期、3.9%の増益予想 米関税の影響は50億円
2026年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前年比3.9%増の1150億円になる見通しと発表した。非資源を中心とした資産構成の変革で市況への耐性が向上する一方、米国の関税が50億円利益を下押しすると見込む。
IBESがまとめたアナリスト6人の予想平均値1165億円を下回った。
年間配当予想は1株165円と、25年3月期の実績から15円増配する。発行済み株式の1.3%に当たる280万株・100億円を上限とする自社株買いも発表した。取得期間は2日から7月31日まで。
出典:ロイター 参照

海外時間
ドル円が145円73銭まで上昇。
米新規失業保険申請件数が予想を上回りドル売りが優勢となったが、米中貿易協議の可能性や4月ISM製造業景況指数が予想を上回ったことで、警戒感が緩和しドルの買戻し。 また、日銀が成長見通しと物価見通しを引き下げたことで利上げ観測が後退したことも円安に寄与。
株式市場も上昇。
SP500は35.06高の5,604.13ドル、ダウ平均は83.60ドル高の40752.96ドル、ナスダックは264.40ポイント高の17710.74、で取引を終了した。
こちらも米中協議の可能性を好感したほか、前日発表されたソフトウエアメーカーのマイクロソフトやソーシャルテクノロジー会社のメタ・プラットフォームズなど主要ハイテク企業の好決算を好感した買いに支えられた。
米国指標
米労働省が1日発表した4月26日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比1万8000件増の24万1000件となった。市場予想の22万4000件を超え、2カ月ぶりの高水準に急増した。
米供給管理協会(ISM)が1日発表した4月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は一段と低下し、48.7と5カ月ぶりの低水準を付けた。低下は2カ月連続。
市場予想は48.0。
ベッセント兄貴発言
米中貿易協議については、ベッセント兄貴から「中国との関税合戦では段階的な緩和が必要」「中国がまず高関税を引き下げる必要がある」と発言。
その他、「ウクライナとの鉱物資源協定はロシアへの強いシグナル」ウクライナとの鉱物資源協定の効力を主張。
(米国とウクライナは4月30日、ウクライナの鉱物資源などの共同開発を柱とする協定に署名。
米国がウクライナの新たな鉱物資源取引への優先的なアクセスを得るほか、共同で投資基金を創設しウクライナの復興に充てることなどが盛り込まれた。)
2年債利回りがフェデラルファンド(FF)金利より低い点を指摘し、FRBに利下げを求めた。
アップル決算
Apple決算(1-3月)
・利益(EPS):予想を小幅に上回る
・売上高:予想をやや上回る
・株価:発表直後に2%安
売上高と利益がともに市場予想を小幅上回った。
トランプ大統領が打ち出す関税措置に絡む値上げへの懸念から、iPhoneに駆け込み購入があった。
売上高は953億6000万ドル、1株利益は1.65ドル。
LSEGのまとめたアナリスト予想はそれぞれ946億8000万ドル、1.63ドル。
iPhoneの売上高は468億4000万ドルで、市場予想の461億7000万ドルを上回った。
アマゾン決算
Amazon決算(1-3月)
・利益、予想を上回る
・売上高、ほぼ予想なみ
・4-6月の利益見通しが弱め
・発表直後の株価は5%安
第1・四半期決算は、クラウドサービス部門アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の売上高の伸びが17%と、市場予想の17.4%を下回った。
全体の売上高は1557億ドルで、LSEGのまとめたアナリスト予想の1550億4000万ドルを上回った。
第2・四半期の売上高見通しは1590億─1640億ドル。見通しの上限は市場予想の1609億1000万ドルを上回り、アマゾンの小売事業が米関税措置に絡む不確実性を乗り越えることができる可能性を示唆
出典:ロイター参照
今日の一言
日銀の政策決定会合については、政策維持や経済展望の内容等、今できる最善の対応をとった印象。
マーケットが日銀に対して過度にタカ派姿勢を期待していた向きを修正しつつ、インフレを睨んで利上げの旗は下さなかった。
トランプ関税の全貌がはっきりしていない且つ、影響も不確実な中においては素晴らしい対応だったのではないか。
米国においては、ベッセント長官の安定的な発言がマーケット民に安心材料を与えている。
米中の協議期待をはじめ、ウクライナロシア情勢の進展や、トラおじがSNSでメンヘラ炸裂させてFRB議長を解任させると騒いでいる件についても、「2年債利回りがフェデラルファンド(FF)金利より低い」点を指摘してFRBに利下げを求めており、論理立てたFRBへの問いかけは流石!!
米国の決算も、不悪な内容が続いており、悲観するほどの内容でないことから米株の買い戻しに寄与している。
そういえが、数週間前までいた「米株の急落はわかっていた」おじさん達って自分の巣穴に戻っていったんですかね。

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