市場概況(1週間の振り返り)
日本市場
日経平均 50,491.87 円(前週末比 +238.01 円 / +0.47%)
TOPIX 3,362.56(前週末比 −16.10 / −0.48%)
日本10年国債利回り 1.949%(前週末比 +0.139pt / +7.68%)
先週の 日経平均株価 は一進一退の展開となりました。週初の12月1日は前週末から950円超下落し、心理的な5万円を割り込みましたが、その後は反発しました。12月4日には一時大幅上昇を見せ、年初来高値圏に迫る展開となりました。しかし週末の5日には、前日の大幅上昇の反動や長期金利の上昇、円高といった材料を受けて再び下押ししました。終値は50,491.87円となり、4営業日ぶりに大幅反落となりました。広範囲の銘柄で利益確定売りが広がり、プライム市場では値下がり銘柄が全体の約8割を占めました。特に自動車株やゲーム株、半導体の一部で下げが目立ち、自律反発には至りませんでした。一方で、「銀行」「非鉄」「情報・通信」など一部の業種では買いも入り、半導体関連の一角や塗料など特定セクターは堅調でした。背景には、国内での日本銀行(BOJ)による利上げ観測の再燃や、円高・金利上昇によるコスト要因、さらに米国など海外市場の動向をにらんだ慎重な姿勢があったとみられます。また、直近の上昇によって割高感が意識されたことから、短期的な利益確定売りが入り、足元のモメンタムがやや鈍化した印象です。総じて、先週の日本株は「反発→高値試し→利益確定売り」といった典型的な調整局面となりました。短期の上昇の反動もあって全体としてはやや不安定な動きが続いており、今後は為替・金利・海外市場の動向が鍵になりそうです。
米国市場
S&P 500 6,870.40 (前週末比 +21.31 / +0.31%)
NYダウ 47,954.99 (前週末比 +238.57 / +0.50%)
ナスダック総合 23,578.13 (前週末比 +212.44 / +0.91%)
米10年国債利回り 4.138% (前週末比 約 +0.123 ポイント)
先週の米国株式市場は、おおむね上値追いの展開となり、主要3指数は週としてプラスで終わりました。週の始め12月1日は、米国債の利回り上昇や、製造業の鈍化を示す材料を背景に、Dow Jones Industrial Average(ダウ)をはじめ株価が反落しました。 しかしその後、経済データやインフレ関連の指標に基づき、Federal Reserve(FRB)の利下げ観測が再び台頭。これを受けて投資家心理が改善し、リスク資産である株式に買いが入りました。週末の12月5日は、特にハイテクや消費関連、通信サービスなどが買われ、S&P 500 や Nasdaq Composite も上昇。最終的に、S&P 500は6,870.40、ダウは47,954.99、ナスダックは23,578.13で取引を終えました。総じて、米国市場は、「利下げ期待 → 株高 → 買い戻し」の流れで上昇が優勢だったものの、週初の反落などで不安定さも見られる週となりました。来週のFRBの政策決定や経済指標、企業決算などが相場の鍵を握りそうです。
為替市場
先週のドル円相場は、全体として円高方向にやや振れる展開となりました。週初の12月1日には155円台半ばで推移しましたが、日本銀行の政策修正に対する思惑が再浮上したことや、国内長期金利の上昇を受けて円高が進む場面がみられました。特に週央には、米金利の低下や米国の利下げ観測の強まりが意識され、米ドル売り・円買いの流れが優勢となりました。一方で、米国経済指標はまちまちで、リスク回避に偏るほどの材料はなく、155円台を大きく割り込む展開までは至りませんでした。
週末にかけても日本の金利上昇が円高要因となる一方、米国株は堅調でリスクオンの流れもあったため、為替は上下に振れつつも方向感は限定的でした。最終的には155円前半での取引となり、週全体で見るとわずかに円高で終了しました。総じて、国内の金融政策への思惑が相場のカギとなり、米金利の動向とのせめぎ合いが続いた一週間でした。
経済イベント
🇯🇵 日本の主な予定
- 12月8日(月) 08:50 — 四半期別実質GDP(2次速報)(7-9月期分)
- 12月8日(月) 08:30〜 — 毎月勤労統計など、雇用・賃金関連の統計発表
🇺🇸 米国の主な予定
- 12月9–10日 — Federal Reserve(FRB)による FOMC政策金利決定会合
- 12月10日 — 第3四半期の Employment Cost Index(雇用コスト指数)発表予定。
- 12月11日 — 米国の PPI(生産者物価指数)発表
来週の最大の注目は米国FOMCで、今回の利下げはほぼ確実視されています。そのため市場の焦点は、今後の利下げペースや2026年の政策金利見通しに移っています。パウエル議長が追加の利下げに積極姿勢を示せば、米金利の低下とドル安が進みやすい展開です。一方で、インフレ警戒を強める発言をすれば、利下げペースが鈍化するとの見方から市場の反応は限定的となる可能性があります。また、PPIはインフレの先行指標として注目され、予想を下回れば追加利下げ期待を強め、ドル円や株式市場の追い風になりそうです。
来週の相場展開 トレード方針
来週の相場は、米国FOMCの利下げがほぼ織り込まれていることから、イベント通過後はボラティリティが徐々に落ち着き、米株は上昇基調を取り戻す展開が想定されます。マーケットの注目は、利下げそのものよりも、今後の利下げペースや2026年の金利見通しに移っており、パウエル議長が追加利下げに前向きなスタンスを示せばハイテクやグロース株の追い風になりそうです。一方で、インフレ懸念が残る発言の場合は上値がやや抑えられる可能性もありますが、全体としてはリスクオン方向を維持しやすい状況だと考えられます。
ドル円はFOMC後に一時的な円高方向を伺う場面が出る可能性はありますが、翌週に控える日銀会合での利上げも大方織り込みが進んでいるため、もう一段大きな円高が進むシナリオは描きにくい状況です。むしろ、利上げが既成事実化することでイベントリスクは減り、円高バイアスがやや後退する可能性があります。日本株についても、先週末に上値が抑えられたものの、日銀の利上げが市場に織り込まれたことを確認できれば、再び高値を試しにいく展開が期待できそうです。特に下げが大きかった銘柄や内需株には押し目買いが入りやすく、為替の安定が進めば上値を狙う動きが優勢になると見られます。
総じて、来週は「FOMC通過→ボラティリティ低下→株高継続」という流れを基本シナリオとしつつ、ドル円はレンジで推移し、日本株には再び上値余地が出てくる一週間になりそうです。


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