市場概況(1週間振り返り)
日本市場
日経平均 終値:52,411.34円 前週末比:+3,111.69円(+6.31%)
TOPIX 終値:3,331.83 前週末比:+62.38(+1.91%)
日本10年国債利回り 終値:1.695% 前週末比:+0.04(+0.024%)
日本株は、AI・半導体・ハイテク主導で大幅高。米ビッグテックの好感触や生成AI関連の需要観測を追い風に、東エレク、アドバンテスト、SoC系や半導体製造装置・部材が買われ、日経平均は史上高値の52,411.34、TOPIXも過去最高を更新して週を終えました。個別ではソフトバンクグループが上昇基調。Arm関連の思惑やAI投資ストーリーが再評価され、指数の押し上げに寄与しました。
政治面では10月28日の日米首脳会談が行われ、終始良好なムードであったことや、「経済安全保障・レアアースなどの供給網協力の強化」で一致しが市場心理を下支えました。また、高市新政権下での連携強化確認は、テック分野の対中依存低減の思惑とも重なりました。
日銀は10月30日の会合で政策金利を0.5%に据え置きました。ただし決定は7対2で、2名が25bpの利上げを主張するなどタカ派的な少数意見も示され、今後の引き上げ余地が意識されました。
総じて、テック主導の上昇、良好な日米関係、日銀の現状維持(ただし一部利上げ支持)という三点が重なり、リスク選好が広がった一週間でした。
米国市場
S&P 500 終値:6,840.20 前週末比+48.51(+0.71%)
NYダウ 終値:47,562.87 前週末比+355.75(+0.75%)
ナスダック総合 終値:23,724.96 前週末比+520.09(+2.24%)
米国10年国債利回り 終値:4.081% 前週末比:+0.078(+1.94%)
米国株市場も、AI・半導体関連を中心に買いが続き、ナスダックが堅調に推移した一方、S&P500とNYダウは金利動向をにらみながら上値の重い展開となりました。決算では、生成AI向け投資やデータセンター需要の拡大を示した企業が多く、エヌビディア関連やクラウド関連銘柄に資金が流入。市場のテーマは引き続き「AI成長ストーリー」が主軸となっています。
注目のFOMCでは、市場予想通り0.25%の利下げが決定されたものの、パウエル議長が「政策はあらかじめ決まった道筋ではない」と述べたことで、連続利下げ期待が後退し、金利が一時上昇。これを受け、NYダウとS&P500は上値が重い展開となりました。しかし、下げた場面ではナスダックを中心にAI関連やハイテク関連株には旺盛な書い意欲が続き底堅い推移となました。
総じて、市場は「金利の高止まり観測」と「AI成長期待」の綱引きが継続した週となりながらも、じり高の展開でした。
為替市場 USDJPY
始値:152.75
高値:154.44
安値:151.53
終値:154.00
先週のドル円は、FOMCによる利下げと日銀の金融政策スタンスの違いが相場を動かした週でした。FOMCは政策金利を0.25%引き下げ、景気減速リスクに配慮した判断を示しました。ただし、パウエル議長は会見で「利下げが連続することを前提としない」と明言し、インフレ抑制姿勢は継続しました。このため、市場は大幅なドル安には振れず、むしろ「利下げはしたが、金融環境は依然タイト」という解釈が優勢となりました。一方、日銀は政策変更を最小限に留め、金利引き上げに慎重な姿勢を維持したことで日米金利差は大きく縮まらない構造が続くとの見方が強まりました。相場は一時151円台まで円高に振れたものの、押し目ではドル買いが入り、週末にかけて154円台へ戻す動きとなりました。結果として、先週は「利下げしたにもかかわらずドル円は下がりにくい」ことが改めて示され、円安基調が根強いことを市場が再確認した1週間でした。
来週の経済イベント
🇺🇸 米国
- FOMCで利下げが行われた直後の週となり、「追加利下げが続くか」が最重要テーマ。
- ADP雇用統計(民間雇用の強さを確認 → NFPの先行指標として注目)。
- ISM非製造業景況指数(サービス業が景気を支えているかどうかを判断)。
- 新規失業保険申請件数で、労働市場の緩みが出ているかを測定。
- FRB高官の講演が複数予想され、利下げペースに関する発言があれば為替が即反応しやすい。
🇯🇵 日本
- 日銀金融政策決定会合の議事要旨が市場にとって重要(利上げに前向きか慎重かを判断する材料)。
- 家計調査により消費の弱さ・物価高の影響を確認。
- 実質賃金の動向が注目点(賃金が物価に追いついていない状況だと、日銀は大きな政策変更をしづらい)。
来週の相場展開
来週の相場は、米国株・日本株ともに中期的な株高トレンドが続く流れが基本シナリオとなります。FOMCが利下げに踏み切ったことで、金利の上昇余地は抑えられ、株式にとっての割引率は低下方向に向かいます。特に米国では、景気が急速に悪化していない限り「利下げ→成長株に資金が戻る」という構図が意識されやすい局面です。短期的には、ADP雇用統計やISMなどの指標を受けて上下の揺れは想定されますが、押し目があれば買いが入りやすい環境と言えます。資金は引き続き大型テックやAI関連、高収益セクターへ向かいやすい流れです。
日本株も、日銀が急いで政策を引き締める姿勢を見せなかったことで、円安と企業収益改善が継続する構図が維持されています。輸出企業だけでなく、製造業全体で為替メリットが意識されやすく、利益見通しの上方修正が相場を下支えします。ドル円が急騰する局面では介入警戒が上値を抑えますが、調整は「押し目」になりやすいと考えられます。
総じて、来週は短期の値動きには注意しつつも、株高基調は変わらず、押し目買い優勢の相場環境が続く可能性が高いと見られます。

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