注目される債券市場!円金利上昇でドル円は140円を割り込むか!植田総裁の発言にも注目!(2025.5.26〜マーケットイベント)

Market

  • 5月27日(火)
    • 日本 09:00:植田和男日銀総裁の発言
    • 米国 21:30:4月耐久財受注(予想:-8.0%)、輸送用機器除く(予想:0.1%)
    • 米国 22:00:3月ケース・シラー住宅価格指数(前年比)(予想:4.5%)
    • 米国 23:00:5月消費者信頼感指数(予想:87.0)
  • 5月28日(水)
    • 27:00:FOMC議事要旨公表
    • エヌビディア<NVDA>決算
  • 5月29日(木)
    • 米国 21:30:1-3月期GDP改定値(予想:-0.3%)、個人消費、コアPCE
    • 米国 21:30:前週分新規失業保険申請件数(予想:23.0万件)
    • 米国 23:00:4月住宅販売保留指数(前月比)(予想:-1.0%)
  • 5月30日(金)
    • 日本 08:30:5月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く、前年比)(予想:3.5%)
    • 米国 21:30:4月個人消費支出(PCE)デフレーター(前年比)(予想:2.2%)、コアPCE(前年比)(予想:2.6%)
    • 米国 22:45:5月シカゴ購買部協会景気指数(予想:45.0)
    • 米国 23:00:5月ミシガン大学消費者態度指数・確報値(予想:51.0)

27日(火)植田日銀総裁の発言が控えています。
先週、大きく上昇した日本長期金利についての見解や、日銀が保有する債券を減額する計画(テーパリング)の方向転換を含むかに注目です。
直近では、野口朝日審議委員が「直ちに国債市場に介入する必要はない」と発言しており、おそらく植田総裁も現状スタンス維持を示唆すると思われます。
しかし、一部では「日銀が金利上昇に対応する」との期待もあることから、緩和の期待が剥落すれば金利上昇が再開する可能性があります。

その他、28日(水)には、NVIDAの決算発表を控えています。
予想を上回る好決算となった場合、ハイテク株に物色の流れを引き寄せることも予想されます。
中国との貿易戦争の緩和や、トランプ米大統領が中東を訪問し、AI半導体の投資拡大を呼びかけるなど、AI関連の堅調な需要は続くと見られています。
市場でもエヌビディアの好決算を期待する見方は多く、2~4月期の1株当たり利益は前年同期比44%増の0.88ドル、5~7月期は同49%増の1.01ドル前後との予想も出ています。

日本の金利上について

引き続き、マーケットは債券市場に注目が集まりそうです。
日本の長期金利の上昇は、夏の参院選に向けた「消費税減税」の議論や、地政学リスクの高まりに伴う「防衛費拡大」による財政悪化懸念や、インフレの高まりに起因しています。
メディアやマーケット参加者の間では、「消費税減税」の財政出動に対して、債券自警団が「No」を突きつけているとのコメントが多いですが、理由はもっと複雑な気がします。
そもそも、日本政府の税収は2025年度の見込みも含めると、6年連続で過去最高を記録してる状況で、急に財政悪化を理由に債券売りが加速するのも違和感です。

国のトップによる、「日本の財政はギリシャよりも悪い」という発言はもっと違和感ですが、選んだは我々国民ですので。。。我々国民の認識が反映されていると反省しましょう。

財源への懸念以外にも、世界的なインフレ、雇用のミスマッチによる人件費拡大、不動産市場の高騰、老朽化した公共インフラの修繕等、金利を押し上げる要因が複合的に絡み合っているからです。
そして、これらの状況は簡単には解決しませんし、米中対立に端を発したグローバリズムの巻き戻しや、ウクライナ情勢、シリア情勢、台湾有事などの地政学リスクの高まりによるグローバルコストの上昇は更に加速する可能性がありますので、これからも金利上昇は続くと構えておいた方が良いと思っています。

インフレ退治が優先と考えると、現段階で日銀が引き締めスタンを緩めるとは考えづらくなってきます。
日本の景気はお世辞にも良いとは言えませんが、それ以上にインフレのリスクが高まっていることを鑑みると、日本銀行は景気を犠牲にしてでもビハインドザカーブ(金融政策が後手に回ること)を避ける選択を取らざるを得ないのかもしれません。

日鉄のUSスチール買収はドル買い材料

前述した通り、日銀の引き締め政策維持は金利上昇=円高の材料となります。
一方で、先日トランプ大統領が支持を表明した、日鉄によるUSスチールとの提携では相応のドル買いが想定されます。
買収額が140億ドル(約2兆1,980億円)ですので、それだけのドル買いが発生することになります。
一日のドル円の取引量は30兆円近くあることから、今回のUSスチール買収が市場に与える影響は限定的と思われます。
しかし、トランプ大統領が各国との貿易交渉を進める中で米国への投資をコミットする国や企業が増えている流れを鑑みると、今後も米国への投資に関連したドル買いフローが続くと予想しています。

現在、円高論者の方々は日米の金融政策の違い(日本:引き締め 米国:緩和)による、日米金利差の縮小を根拠にドル円下落を謳います。
しかし、日本のデジタル赤字の拡大や米国への投資など、円高要因と同じ、もしくはそれ以上にドル買い要因も混在していることは忘れてはいけません。


NHKートランプ大統領 日本製鉄とのパートナーシップを承認する意向

バイデン政権下、国家安全保障を理由に買収が否認された日鉄によるUSスチール買収計画ですが、トランプ大統領は先月、政府のCFIUS=対米外国投資委員会に再び審査するよう指示していました。

そして、アメリカのトランプ大統領は23日、自身のSNSに「多くの検討と交渉の結果、USスチールがアメリカにとどまり、本社も偉大な都市ピッツバーグに維持し続けると発表できることを誇りに思う。これはUSスチールと日本製鉄の間で計画された提携であり、少なくとも7万人の雇用を創出しアメリカ経済に140億ドルの経済効果をもたらす。これはペンシルベニア州の歴史上、最大の投資になる。わたしの関税政策は鉄鋼製品が再びそして永遠に“メイド・イン・アメリカ”であることを保証する」と投稿し両社のパートナーシップを承認する意向を明らかにしました。

日鉄コメント「パートナーシップ承認の英断に敬意」
USスチールコメント「トランプ大統領に深く感謝」


トランプ大統領は、買収を承認するとは明言しなかったものの、日鉄が計画してた買収金額は140億ドル規模で、USスチールの元従業員の雇用も保証する内容の買収提案であったことを鑑みると、「少なくとも7万人の雇用を創出しアメリカ経済に140億ドルの経済効果をもたらす」との発表は暗黙承認と捉えて良いかもしれません。(USスチールの従業員数は2万人超なので7万人の雇用の根拠は不明ですが、、、)

このトランプ大統領の発表を受けて、USスチールの株価は一時26%上昇しています。

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