日経平均急騰と米国株調整の理由|AI再評価とドル円急変を読む

Market

市場概況(1週間振り返り)

日本市場

日経平均株価:56,941.97円(前週末比:+2,688.29円/+4.96%)
TOPIX:3,818.85(前週末比:+119.85/+3.24%)
日本10年国債利回り:2.214%(前週末比:▲0.021%pt)

先週の日本市場は、高市政権が衆院選で圧勝し、自民党が安定多数を確保したことを受けて大幅高となりました。最大の材料は、積極的な財政政策や追加経済対策への期待です。公共投資や減税、産業支援策の拡大観測が強まり、内需関連株や景気敏感株を中心に買いが広がりました。政治的不透明感の後退も追い風となり、海外投資家の資金流入が加速。日経平均は週間で約5%上昇し、TOPIXも幅広く上昇しました。一方、日本10年国債利回りはやや低下し、株高基調が鮮明となった1週間でした。

米国市場

S&P500:6,836.17(前週末比:▲96.13/▲1.39%)
NYダウ(Dow Jones):49,500.93(前週末比:▲615.74/▲1.23%)
ナスダック総合:22,546.67(前週末比:▲484.54/▲2.10%)
米国10年国債利回り:4.056%(前週末比:▲0.154%pt)

先週の米国市場は軟調な展開となりました。S&P500やナスダック総合は下落し、特にハイテク株への売りが目立ちました。背景には米国10年国債利回りの高止まりによるバリュエーション調整圧力に加え、AI分野の構造変化への警戒があります。注目されているのがアンソロピックの台頭です。高性能な基盤モデルの進化により、生成AIの中核価値が「アプリケーション層」から「モデル層」へとシフトする可能性が意識され始めました。

これまで高成長期待で買われてきたAI関連ソフトウエア企業は、基盤モデルの汎用化が進むことで差別化が難しくなり、価格競争や収益圧迫のリスクが浮上しています。また、企業の内製化が進めば中間レイヤーのSaaS企業の存在意義が問われる構図も見え始めました。その結果、AIテーマ全体が売られるのではなく、独自データや業界特化型の強みを持つ企業と、単なる機能追加型の企業との間で選別が進んでいます。市場は「AIは誰が利益を握るのか」という再評価局面に入り、成長期待と現実的な収益構造の見極めが進んだ一週間となりました。

為替市場(ドル円)

始値 157.55 円(2月6日・ドル買いでスタート)
高値 157.66 円(2月9日に上昇)
安値 152.26 円前後(2月12日にドル安進行)
終値 152.62 円(2月12〜13日終値水準)

先週の為替市場は、円高・ドル安が進行しました。USD/JPYは週初に157円台で始まったものの、週後半にかけて152円台まで下落し、1週間を通して円高基調が鮮明となりました。背景には、日本の円金利に先高観が出た一方で、米金利が低下したことがあります。国内では、政治情勢の安定を受けて積極財政や物価動向への意識が高まり、日銀の正常化路線が意識されやすい環境となりました。この結果、日本10年国債利回りは高止まりし、円を支える要因となりました。

一方、米国では米10年国債利回りが低下しました。直近の雇用統計では、雇用者数の伸びが市場予想を下回り、労働市場の過熱感がやや後退したとの受け止めが広がりました。また、CPIもインフレの再加速を示す内容とはならず、インフレ沈静化が続いているとの安心感から米国債が買われました。これにより、早期利下げ期待が完全には後退せず、ドル売り圧力につながりました。

日米金利差の縮小観測が意識されたことで、為替市場では円買い・ドル売りが優勢となり、比較的値幅の大きい1週間となりました。

今後の見通し

今後の米国市場は、短期的な調整と中長期的な成長期待が交錯する局面になると見ています。足元では昨年まで相場をけん引してきたAI関連株が一服し、ナスダックを中心にバリュエーション調整が進んでいます。アンソロピックの台頭は、その象徴的な出来事でした。基盤モデルの高度化により、これまで高い付加価値を享受してきた一部のソフトウエア企業の優位性が揺らぎ、市場は「誰が本当に利益を握るのか」という再評価を始めています。しかし、イノベーションの歴史を振り返れば、新技術の進展は既存の付加価値を淘汰しながら、より大きな付加価値を生み出してきました。AIバブル崩壊と断じるには早計であり、むしろ成長の主役が入れ替わる過程にあると考えます。

加えて、米国のインフレは徐々に落ち着きを見せており、労働市場の過熱感も和らぎつつあります。今後、経済指標の落ち着きが確認されれば、FRBの利下げ観測が再び強まり、金利低下が株式市場の追い風となる可能性があります。また、中間選挙を控える政治日程も無視できません。トランプ大統領が景気刺激策や減税などの政策を打ち出す可能性は高く、マーケットフレンドリーな姿勢が強まる局面も想定されます。以上を踏まえ、足元の調整局面では悲観に傾き過ぎず、段階的にロングを積み増す戦略を基本方針としています。

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