先週は、米国のCPIが市場予想を大きく上回り、米国の利下げ時期の後退が織り込まれた。ただ、CPI退治に時間を要することはマーケットも織り込んでいることもあり、総じてみれば米国景気ソフトランディング路線に変更はないだろう。また、トランプ大統領の関税政策に対する不安も拭えない点はあるが、自国ファーストで関税を交渉材料にしていることは明白で過度に悲観する必要はなく、蓋を開ければ米国経済にとって有利な交渉を成立させる期待値の方が高い。
トランプ大統領が非関税障壁(自国企業への補助金、付加価値税、消費税)に関して言及し、「日本の消費税引き下げ」がトレンドインしたことはポジティブである。外圧でしか緊縮財政路線を変換できないとすれば霞ヶ関は甚だ情けないが、リスクを取ることが出来ない官僚にとって外圧がエクスキューズとなるならば背に腹は変えられない。もっとも、日本の消費税減税引き下げについては確度がよめないため、期待値は低く設定したい。アメリカも自国に対して強くコミットする日本の経済成長の為にチャンスをくれていると思いたい。
他方、日本では日銀のタカ派路線が意識され、日本金利上昇、円高が進みドル円は一時150円を割り込む展開となった。先週発表された四半期GDPが実質ベースで+0.1%とほぼゼロ成長にも関わらず、利上げの風潮が強まることは違和感をおぼえる。日銀としても実質成長率が0%の環境下で10年債利回り1.5%を上回るほどの引き締め政策を押し通すロジックはないだろう。
以上鑑みると、大きなゲームチェンジが起きているとは想定し辛く、ドル円は150円付近を底値に、じりじり既存レンジの150円半ばにより戻されると予想している。